「日本語教師になりたいんですけど、どうすればいいですか」
このような質問をよく受けます。
日本語教師になるには大きく三つの方法があります。
- 大学の専攻課程を卒業する
- 日本語学校等の教師養成課程を修了する
- 日本語教育能力検定試験に合格する
結論から言えば、どの方法であっても日本語教師になることはできます。
(今後「登録日本語教員」という資格が設立される可能性が高いのでそうなれば少し変わります)
ただ、日本語教師といってもその職種は多様ですので、どのような職種につきたいかによって、どの方法が良いかは変わります。
【日本語教師になる方法 ①大学】
:向いている人:
- 大学などで留学生を教えたい人
- 日本語教育だけではなく、教育学も学びたい人
- まとまった時間がとれない人
- まだはっきりと決めていないけど、とりあえず目指してみたい人
:向いていない人:
- むずかしい理論には興味がない人
- なるべく早く教師になりたい人
- 10代から20代の初めぐらいの若い人と一緒に学ぶのに抵抗がある人
大学の最もいいところは、専門学校よりも初期投資が少なくて済むことです。
専門学校であれば、半期、あるいは年間の授業料がまとめてかかりますが、大学の場合は、科目履修であれば1科目ごとの課金です。
(学部に入学すれば専門学校よりかかります)
なので、まだどうしようか迷っている、あるいは興味はあるけど仕事としては考えていないといった人には、まずは数万円の投資で済む大学(科目履修)が向いています。
(最終的には複数科目の単位をとらなければならないので、本気で目指す場合はそれなりのお金がかかります)
もちろん、基本的に学部の授業ですので、理論の授業では専門知識が学べます。
これは専門学校の単位数からすると、やはり比べ物にはならないです。
その意味では、理論的な勉強をしたい人には大学がオススメです。
ただし、大学に向いていない人もいます。
ゼロから学ぼうとする人は、半期で全ての単位をとるということが難しく、最低でも1年はかかります。
また、入学時期も多くて年2回ですので、そのタイミングでしか学習を始められません。
加えて、夜間の講座を持っている大学でなければ、昼の授業は圧倒的に学部生(10代~20代前半)が受講しているため、年齢的に離れている場合はその輪の中に入っていく努力も必要です。
最近はアクティブ・ラーニングなどの影響で、ただ講義を聞くだけでは単位がもらえない授業も多くなってきています。
その意味では、年齢層の狭い日本の大学は、社会人にとって学びにくい環境かもしれません。
【日本語教師になる方法 ②日本語学校等の養成課程】
:向いている人:
- なるべく早く仕事がしたい人
- 留学生と触れ合いたい人
- 海外で就職したい人
:向いていない人:
- 職場の就業時間が不規則で、かつ自分では決められない人
- まだ気持ちが決まらず迷っている人
- 学歴が欲しい人
日本語学校のいいところは、ゼロからでも早く日本語教師になれることです。
大学では最低1年程度はかかりますし、教育能力検定試験も年に一度しかありませんから、タイミングが悪ければ同等かそれ以上の時間がかかると思ってよいでしょう。
日本語学校の場合は早ければ半年くらいでコースを修了して、うまくいけばそのまま就職先を見つけることもできます。
大学の場合は教員やクラスメートのつてで就職を探すのは難しいですが、日本語学校であれば、卒業生のつながりや、クラスメートの中にも人脈がある人もいることがあるので、その意味ではチャンスは多いです。
ただ、海外で就職する場合は、別の問題もあります。
海外の教育機関では、学歴を重視するところが多々あり、最低でも大卒でなければ学校の教員になるのは難しいです。
日本語学校の養成課程は、課程を「修了」したことは証明してくれますが、それは学位とは異なります。
大学の学部を卒業すれば「学士」、専門学校であれば「専門学士」という資格(学歴)が与えられます。
その意味では、養成課程とは別の学歴がなければ、就職先は極端に狭くなります。
【日本語教師になる方法 ③日本語教育能力検定試験】
最後に教育能力検定試験の合格を目指すという方法です。
:向いている人:
- すでに大学で基礎的な勉強をした人
- 勉強時間が1日数時間、あるいは週末くらいしか取れない人
- もうすでに日本語以外の教員として仕事をしている人
:向いていない人:
- 計画的に勉強するのが苦手な人
- 自分からコミュニティーに入って行けない人
- 教育経験のない人
教育能力検定試験は、他の二つとは性格が異なります。
試験によって資格(のようなもの)を得るので、人によってかかるコストが全く違ってきます。
他業種からの転職を考えている人には、ハッキリ言ってオススメしません。
現場目線では、やはり知識があっても「経験」のない人にクラス運営を任せるのは難しいです。
大学や日本語学校のように、最低限「実習」をある程度こなした上での付加価値としての試験という位置づけで考えておいた方がいいでしょう。
日本語学校などでは、採用時に模擬授業があるところが多いですが、検定試験の合格だけではなかなか模擬授業をパスできません。
また、一緒に勉強する仲間がいない状態で独学しても、そこから就職を探すのは限られた公開情報からの一般公募となるので、運の要素が大きくなります。
その意味では、コミュニティに所属した上で試験合格を目指すのがいいでしょう。
それぞれにいいところ、悪いところがありますので、自分の目的や状況に合わせて決めましょう。
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