日本語教師のための失敗しない教材のえらび方

スキル

「教材はいろいろあるけどどれを選べばいいの?」

コースの開始前にはいつも迷いますよね。

今回は教師の立場から教材の選び方について考えてみたいと思います。

市販の教材は数え切れないほどありますが、前提から言うと、

どんな学習者にもあう万能な教材などありません。

それぞれの教材には良いところ、足りないところがあるのが普通です。

1冊で全て満足する教材なんてなかなかありません。

では、どのような基準で選ぶとよいか…

  • コース期間中に終えられる教材を選ぼう
  • 教材は解説が充実しているものが良い
  • 教材はなるべく一冊に集約されているもので

この辺りがポイントになるでしょう。

【コース期間中に終えられる教材をえらぼう】

教材はコース期間中に終えられる長さのものが良いです。

これは学習者の満足度に関わる量的な問題です。

例えば、1ヶ月の学習期間でゼロ初級の学習者が200ページを超えるような教材を手にしても、消化不良になるのは目に見えています。

やり残したページが多ければ多いほど、学習者の消化不良感は強まります。

いくら良い教材であっても、途中でコースが終わってしまうと学習者の満足感が満たされません。

また、語彙・読解・文法など、分野に分けて学ぶ場合も、全ての教材を合わせたページ数が多すぎると学習者は学びにくくなるでしょう。

もちろん、レベルやニーズによって1冊では足りないということも十分考えられます。

その場合、自作の教材などで補足するなど工夫が必要になります。

教材を作る側からしても、1冊である程度のまとまりとして構成しているので、やはりできるだけコースのうちに終わるようなものが良いでしょう。

【教材は解説が充実しているものが良い】

教材は授業中にだけ使うわけではありません。

予習、復習のしやすさなどもいい教材を判断する一つの要素です。

それを見るポイントは解説が充実しているかどうかです。

解説が充実していると、学習者が自分で予習、復習しやすくなります。

(もちろん、教師もです)

また、教材の作者がどのようなポイントを重視しているかを知ることができます

それによって、自分の考えが独りよがりになっていないか、焦点がずれていないかなどを確認することができます。

何年もキャリアを積んでいる教師であれば特に必要はありませんが、まだ教壇に立ったばかりの教師には、特に重要な基準です。

学習者にも教師にも、どちらにとっても解説の充実した教材は有効です。

【教材はなるべく1冊に集約されているものをえらぼう】

文法は文法の教材を使う。

読解は読解の教材を使う…

このような選択も悪くはありませんが、教材はなるべく1冊に集約されている方が学習者も学びやすいと言えます。

総合的な教科書が四技能を網羅するように作られているのは、関連した学習の方が記憶が定着しやすいからです。

ただし、中級以上になると、1冊で全ての項目を網羅するというのは難しいでしょう。

弱点克服のためには細分化された教材の方が都合がいいこともあります。

授業の仕方次第では、教材の足りないところをある程度補足することは可能です。

何をどの程度補足するか、それを前提に教材を選ぶのも良いでしょう。

【教材えらびはポイントを押さえて】

教材は学ぶための道具なので、使用感が重要です。

ただし、それは内容だけとは限りません。

学習者目線で満足のいく教材を選ぶのも授業を成功させるための大事な要素です。

それぞれの教材には個性があり、どれを使えばいいか迷った時には、ぜひ上記のポイントを考慮してみてください。

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